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良質な呼吸・睡眠のために診療室が考える事:コラム/ますち歯科診療室 MASUCHI DENTAL CLINIC

良質な呼吸・睡眠のために診療室が考える事

今回、このコラムでは良質な呼吸・睡眠環境のための歯科医療とは、と言うテーマで掘り下げて考えたいと思います。

以前、機能矯正の研修会の席で、アメリカの睡眠医学会の報告を聞いたことがあります。アメリカでの睡眠障害での事故、医療費などの社会的損失は、150億ドルという事でした。

睡眠障害と、睡眠中の呼吸障害は、密接な関わり合いがあると考えられます。アメリカでは、その事に関しての医科歯科連携が進み始めているということでした。

現在のところ、ここ日本では、医科は口腔内についてはブラックボックスであり、そして歯科も視点を変えての行動はほとんど皆無といえます。

呼吸障害、気道をふさぐ原因

呼吸障害、気道をふさぐの原因の一つに「舌が大きい」ということがありますが、先天的な問題とは別に他の要因を調べると、下顎が後退し、そして、下顎にくっついている舌も喉をふさいで気道狭窄を起こすことが考えられます。

 

なぜそうなるのでしょうか?

 

下顎の位置の変化(下顎の後退、かみ合わせの高さの低下)は、日常の生活習慣での「かみしめ癖」「頬杖癖」での経年的変化が、考えられます。

そしてもう一つ、先天的に(ライフサイクルとしては、厳密には後天的な要素が多いと考えられますが)下顎が自由に前に行けない理由があります。それは、上顎の劣成長という問題です。下顎の自由度が、上顎に規制されているケースも見逃してはいけないとされます。つまり、通常のかみ合わせ(上の前歯は、下の前歯にかぶさっている)の場合、上顎の屋根の下に下顎が咬み込むので、屋根が小さいとその家自体も必然的に小さくなってしまうことになります。

小児の発達・発育・学力・ADHDやLDと、睡眠障害の関わり

ここで、興味深い話がありました。

アメリカでこの問題に取り組む医療者は、小児の発達、発育、学力、ADHD(注意欠陥多動障害)やLD(学習障害)と、睡眠障害は深くかかわっているのではないかと申しています。

私見ですが、近年身近な学校においてADHD,LDの子供たちを、結構認めますが、昔の様子は、今のような数で無かったと記憶します。それは現代の子どもたちの睡眠呼吸障害の問題に関連している可能性は、どうなのでしょうか?

以前アメリカのジョージア州にて、子どもたちに医学検査が実施されたそうです。

それは、授業についてゆけない児童が以前より多くなり、学力が低下したので、原因を調査する目的に実施という事でした。そこで睡眠についての取り組みがなされた後、飛躍的に学力が向上しました。

呼吸障害があると、ノンレム睡眠が確保されず、覚醒中の集中力が欠如することにつながります。

近年の学級崩壊の増加と、この問題の関係を我が国でも調査すべきと考えます。

また、呼吸障害が続くと、酸素を十分に吸収できないので、過剰に心臓のポンプをフル稼働させて、あるぶんの酸素を体内に運ぼうとします。それは、高血圧、心臓疾患を引き起こすということです。

寿命を延ばすために、過剰な医療費の削減のために、そして未来を背負う子どもたちの発育のための「口腔機能」を考えていかなくては何のための歯科医療か?と考えました。

 

では、どうするのか?

 

口腔内の容積、舌が動けるスペースの確保、拡大、そして舌の筋力をはじめとする口腔機能の適正化を、まず子供達から育成してゆき、成人では、無意識化で習慣的に過剰に加わる口腔の疲労の軽減も含めて、歯科医療の行動が、国民の健康な身体つくりにつながり医療者としての責務となるのではないでしょうか?

私は、そう考えています。

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