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歯内療法でのHFC治療:コラム/ますち歯科診療室 MASUCHI DENTAL CLINIC


歯内療法への新しい取り組み、HFC(高周波通電)治療とは?

Root ZX3

MORITA社が開発した、歯内療法(歯根内の神経に及ぶ炎症や、歯根先端に波及した病巣への治療)での新しい治療機器が、Root ZX3です。

数年前に大学同期の友人より、同窓先輩が北海道大学のグループと連携して、開発に携わっている治療機器があるとの話を耳にしていましたが、それがこのRoot ZX3でした。
この機器は、HFC(High Frequency Conduction:高周波通電機能を有することが、最大の特徴です。

治療が難しいケースも

今までの標準的な歯内療法においては、歯根内の感染組織を機械的洗浄薬液洗浄によって除去、殺菌することが主流でしたが、その治療方法には限界も存在しました。

脳脊髄神経の中で、上下顎に走行する上顎神経、下顎神経は、枝分かれしてそれぞれの歯の歯根内にも分布、走行していきます。その歯根内に入る神経が、歯根先端付近で側枝という細い枝分かれをしている場合があり、その部分に感染組織が存在する時に、その部分まで機械的洗浄が到達しないケースが、実際あります。その際に治癒していくか否かは、病巣の大きさは勿論の事、治癒能力の個体差によって左右されるのも現実です。

また、神経の入る歯髄腔の内壁が石灰化肥厚して、歯髄腔自体が狭窄、閉鎖(つまって閉じてしまうことがあります)している場合は、機械的洗浄の器具が入らない事も臨床では、しばしば遭遇します。

当診療室では

そこで当診療室では、通法の除去、洗浄治療に加えて、エルビウム・ヤグレーザー照射による殺菌法を併用して治療に当たってまいりました。しかし、それらの治療法を駆使しても治癒に導くのは困難と判断される場合の次の選択肢は、歯の保存治療としての外科的治療を選択します。

病巣部への腫脹粘膜面からの切開・掻把術(病巣を可能な限り掻き出し除去を行い、レーザー照射によってさらに殺菌する)を歯内療法と併用します。また切開・掻把術では、治癒が望めない重度な場合で適応するケースでは、歯根端切除術(感染病巣を含む歯根の先端をカットして除去、レーザー照射)を選択します。

以上の歯の保存療法でも治癒が望めないと判断される場合は、保存治療を断念し、抜歯術の施行となります。そのケースの中でも適応となる場合は、抜歯後の病巣除去と、歯根先端を口腔外で処置した後、その歯を再度口腔内の同じ場所へ歯牙再植術(もう一度戻す再生療法)を施行することも一手として用います。

診査・診断が重要

上記の治療に当たる際は、言うまでもなく初めの診査・診断が最も重要です。
治療回数を重ねれば、よりよくなるという事では当然無く、迅速に適切な診たてのもとに、必要な治療をできるだけ最小回数で、安定した治癒に到達するための治療法の選択、駆使を心がけてきました。

HFC高周波通電治療法の導入

そして今回、HFC高周波通電治療法が、大きな病巣を有するケースや歯質の狭窄によって器具が到達しない根管内外の部位に対しても感染組織の焼灼が行え、その後人体の治癒作用により症状改善が期待されるという事で、当診療室での治療機器としてRoot ZX3を臨床導入することになりました。

診断の下、治療法を駆使する姿勢を同じく、今後も取り組みを進めて参ります。


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