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りっぷるくん検査って?:コラム/ますち歯科診療室 MASUCHI DENTAL CLINIC

口腔機能発達不全症

現在、超高齢社会の日本では、高齢期の口腔機能低下への対応が歯科医療の責務になっています。

「いつまでもお口で美味しく安全に食べる」
というテーマの中に、口腔機能の低下による低栄養が引き起こす体への障害の予防、その先の要介護状態へ移行することへの予防に繋がる大きな意味を持っています。

そこで2018年に「口腔機能低下症」という病名が新たに明記され、診断と治療・管理での対応が急務であることが医療の施策に上がりました。

高齢化による対象の増加は現実問題ですが、その人生の先輩たちは、物の無い時代に育ちながらも食べれる物をしっかり食べて身体を作ってきた人たちです。人は加齢によって機能低下する事は止む得ない事です。その低下をなるべく抑えていくための努力や工夫は、多くは報われます。しかし、幼少の時よりしっかりと食べて丈夫な身体つくりをおろそかにしたならば、その後の健康な人生に対してネガティブな影響をもたらす事は、容易に想像がつきます。

そこで2018年より15歳未満の小児期においても「口腔機能発達不全症」という病名が保険収載されました。これは、小児期での咀嚼機能嚥下機能そして構音機能の発達が十分に獲得されていないケースが認められ、その改善の必要性が重要視された結果です。

目の付けどころは、「必然」でした。

機能の獲得

乳児期で離乳食に移行し、それまでの哺乳での乳児嚥下の習慣から正常嚥下の獲得。しっかりとした口腔環境(歯列の発育と口腔周囲筋の機能の発達と調和)による咀嚼・嚥下習慣の獲得。そして口唇閉鎖力を備え、お口を閉じて深くゆっくりとした鼻呼吸習慣の獲得。これらは、一生ものとして非常に大切な事ですが、この機能を上手く獲得せずに、年齢を重ねるケースも少なくありません。「まだ子供だから」と、ご家庭で見逃されている事もしばしば見受けられます。また口唇閉鎖がなされていない事で、歯列不正が誘発されるリスクとなりますが、口腔乾燥による虫歯や歯周炎とともに口腔、咽頭粘膜での感染症のリスクが高まることが大変危惧されます。

そこで「口唇閉鎖力」を検査して数値で見える化し、状態によっては家庭での生活の中でのトレーニングをお勧めする事になりました。いわゆる「お口ポカン」の診断と指導管理(リハビリテーション)です。

りっぷるくん

そこで口唇閉鎖力検査に使用しているのが、「りっぷるくん」です。
検査では、りっぷるボタンを口唇と前歯の間に挟みギュッと唇を閉じてもらいます。そのボタンに付いた糸をリップルくんで引っ張って、お口からボタンが外れた数値が、口唇閉鎖力として示される仕組みです。6N(ニュートン)は最低必要な値で、目標は10Nと設定しています。がんばって~!!

その指導管理は?

食習慣の確認は、重要ポイント!

しっかりと前歯でかまなくてはならない食形態への工夫。(ワイルドにかぶりつき!)それには、食べ易いように小さくカットとか、飲み込みやすいように柔らかく調理などと甘い事は禁物。

そして嚥下の際にお水で流しこまない事。噛む回数を少なくする要因であり、唾液産生力の向上にブレーキをかけてしまいます。小児期の身体つくりは、一生ものですから「鉄は熱いうちに打て!」を合言葉に!

そしてもう一つは、鼻呼吸習慣の徹底!

そのためには口唇閉鎖は必須ですが、口唇力をトレーニングすることと同じくらい舌筋力が重要とされます。舌筋力の低下は、「低位舌」と呼ばれ、舌先がいつも前歯の後ろ側にくっ付くポジションとなります。この低位舌は、下顎を下方に下げ、よって唇が開いてしまう事に繋がっています。それが口呼吸習慣を助長する事になるのです。

その改善方法は、当診療室の口腔指導の柱にすげる「あいうべ体操」でのトレーニングに尽きます。舌筋力向上が、口唇閉鎖力向上と密接な関わり合いを持つということです。

またお口に水を含んで1分間ブクブクうがいトレーニング(鼻呼吸へのトレーニング)や、夕食後の3分間ガムかみトレーニング(口唇と共に咀嚼機能トレーニングにも)そして風船ふくらまし、笛やラッパを吹く(口腔周囲筋トレーニング)など遊びの中で続けられる「密かにトレーニング!」もお勧めとなります。

継続は力なり!・・・です。


参考引用)(株)松風 りっぷるくん より

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